IPG Automotiveは、Synopsys社のSilverプラットフォームを利用しSIL(Software-in-the-Loop)環境でのバーチャルECU(vECU)の効率的な開発と検証をサポートし、自動車の開発プロセスを加速するソリューションを提供することを1月10日に発表しました。
IPG AutomotiveのCarMakerは、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)の開発およびテストに必要なシームレスでスケーラブルなシミュレーション環境を提供します。Synopsys社のSilverは、vECUを検証するためのプラットフォームです。
統合プラットフォームであるCarMakerとSilverのvECU検証ソリューションを組み合わせることで、時間効率良く、高度に自動化されたX-in-the-Loop環境で、ソフトウェアアーキテクト、機能開発者、アプリケーションエンジニアは車載ECU用の量産向けコードを個別に、またはバンドルして開発することができるようになります。すなわち、バーチャル・テスト・ドライビング環境において、診断用インターフェースやレストバスモデル、バスモニタリングを活用したテストが可能となります。CarMakerのフルバーチャルビークルとvECUの組み合わせにより、一般的なAUTOSARプロジェクトなど、開発のあらゆる段階で信号ベースおよびシナリオベースの検証が実現できます。
CarMakerは、ダイレクトインターフェースまたはFMUインターフェースを介して、シミュレーションの演算値やテスト用の任意の値をバーチャルECUへ入力し、その後、計算された制御パラメータがシミュレーション環境にフィードバックされます。またネットワーク通信をバーチャルバスとしてモデル化することも可能です。
vECUはモデルのみのアプローチとは対照的に、完全なアプリケーションソフトウェアや実際の量産コード、またはそこからコンパイルされたバイナリECUデータからの生成が可能です。
またvECUは、クラウド上で任意の数のコンピューティングノードを利用した並行テストが可能です。ハードウェアから独立することで、より迅速で柔軟なテストが広範囲で実行できるようになります。
Synopsys社のVice President of Engineering for the Systems Design GroupのTom De Schutter氏は、「自動車業界は、バーチャルソリューションを導入することでソフトウェア・デファインド・ビークルの検証を加速させています。SynopsysのSilverプラットフォームで開発されたvECUとIPG AutomotiveのCarMakerの統合により、バーチャルテストシナリオの実行が加速し、自動車メーカーでは検証や妥当性の確認にかかるコストを削減しながら、早期の検証が可能になります」と述べています。
「Synopsys社のSilverとCarMakerの組み合わせにより、開発者は開発プロセスの初期段階でより詳細なテストの実行が可能となり、短いサイクルで迅速かつ安全に問題を検出することができます。最先端のツールチェーンで、開発プロセスをさらにスピードアップしていただけます」と、IPG AutomotiveのSenior Vice President兼CCOであるMartin Elbsは述べています。